参考:共同通信 web版
▽事業者への報酬は、障害が重いほど高くなる仕組みで「営利企業には魅力的」(自治体担当者)だ。2020年4月時点では全国に182カ所だけだったが、福祉の経験がない株式会社などが次々と参入し、昨年10月には約959カ所と5倍超に増えた。入居者は約1万4千人いる。
▽「営利企業には魅力的」な高い報酬、3年半で5倍増加 障害者向けのGHは主に精神、知的障害者が食事や入浴といった支援を受けな がら少人数で共同生活する住居だ。建物は一戸建てやアパート型が多い。
通常のタイプでは入居者は日中、仕事や作業所に通う。ただ、重度や高齢の人は それが難しい場合もあるため、日中もGHで過ごせるよう、国は2018年度に「日中
サービス支援型」という新しいタイプをつくった。 事業者への報酬は、障害が重いほど高くなる仕組みで「営利企業には魅力的」(自 治体担当者)だ。2020年4月時点では全国に182カ所だけだったが、福祉の経験
がない株式会社などが次々と参入し、昨年10月には約959カ所と5倍超に増え た。入居者は約1万4千人いる。
▽スキルのある人材が不足…3割の自治体が「問題ある」 自治体はこの重度者向けGHをどう見ているのか。調査してみた。入居者が100 人以上いる31都道府県を抽出し、その政令市、中核市、都県庁所在地69市区を対
象に、昨年12月にアンケートを実施。全てから回答を得た。 実際に重度者向けGHがあるのは59市(昨年11月1日時点)。既に問題が明らか になっている「恵」以外について、支援の質や入居者の権利擁護などに関する認識
を尋ねると、19市(32%)が「問題があると思う」(「どちらかといえば」を含む)と 回答した。問題があると思う内容としては「職員のスキルや支援の質が伴っていな
い」が最も多かった。 59市でGH数は370(恵を含む)。単純計算すると、2020年度以降、少なくとも 20%(74カ所)で虐待疑いの通報があった。6%(23カ所)では認定されていた。
問題が起きている背景を69市区全てに聞くと、「支援スキルのある人材が不足 している」が最多で、「重度者の地域での受け皿が不足している」「参入ハードルが
低すぎる」と続いた。 今後、どんな対策が必要だと思うかも聞いた。すると「スタッフの資格要件や研修 の導入」がトップだった。次いで「支援内容やサービスの質に関する指針(ガイドライ
ン)の策定」「事業所指定の要件厳格化など参入ハードルを上げる」が多かった。
▽今後、どんな対策が必要か。
「スタッフの資格要件や研修の導入」
「支援内容やサービスの質に関する指針(ガイドライン)の策定」
「事業所指定の要件厳格化など参入ハードルを上げる」が多かった。
新規参入の事業者では、障害福祉の基礎知識が全くなく、職員は無資格者や未経験者が中心という例もある。それらの事業所が障害特性に合わない支援を行い、問題を起こすことが多いのではないか。専門職の起用や研修の義務付けなどを定めるべきだ」