4.6 福祉事業所の人材確保・定着を考える(伊丹きょうだい会編参考文献1)

福祉事業所における人材確保・定着に関する現状の実態把握についての考察
                           (伊丹市のケ-ス)  
尚、資料の数値は伊丹市障害者地域自立支援協議会で2024/2/8公表されたものを使った。

アンケ-ト送付数:118事業所、 回答数36事業者、 回答率31%
   
事業所の人員体制について
58.3%・・・不足する時もあるが、概ね充足しており、業務に支障がない(半数以上)
22.2%・・・不足気味で業務に支障を感じることがある
11.1%・・・充足しており、業務に支障がない

令和5年度当初、採用したかった正規職員のうち、新卒採用の人数
82.9%・・・・・0人
17.1%・・・・・一人
*正規職員の採用ニ-ズは少ないという結果

令和5年度当初、採用したかった正規職員以外の人数
27.8%・・・・・・・・1人
25%・・・・・・・・・0人
13.9%・・・・・・・・3人
11.1%・・・・・・・・2人
8.3%・・・・・・・・4人
5.6%・・・・・・・・5人
2.8%・・・・・・・・6人
2.8%・・・・・・・・7人
結果を見ると、正規職員以外でも採用ニ-ズが少ない

令和5年度当初、実際に採用できた正規職員のうち新卒採用の人数
94.4%・・・・・・・・・0人
5.6%・・・・・・・・・・1人
*新卒採用の応募がない、新卒採用のニ-ズは少ない結果となった。

職員採用においてどのような手段・媒体を利用したか
80.6%・・・・・・・・・・・ハロ-ワ-ク
58.3%・・・・・・・・・・・求人情報サイト等
47.2%・・・・・・・・・・・知人・友人・家族・職員等からの紹介
22.2%・・・・・・・・・・・就職セミナ-
2.8%・・・・・・・・・・・・医療・介護・福祉専門求人


事業所において、現在、特に人材確保に苦慮している職種
35.3%・・・・・・・・・・・・生活支援員
26.5%・・・・・・・・・・・・保育士
20.6%・・・・・・・・・・・・児童指導員
17.6%・・・・・・・・・・・・サ-ビス管理責任者

人材確保が難しいことで、どんな課題が生じているか
60.6%・・・・・・・・・・・・・職員数にゆとりが無く勤務負担が多くなる
48.5%・・・・・・・・・・・・・より支援が必要な利用者に対して十分な対応が出来ない
45.5%・・・・・・・・・・・・・円滑な支援に向けての工夫が出来ない
*人材が不足している現状と、不足することで支援の質の低下につながる現状が伺える

求人について、どのような課題が生じているか
68.6%・・・・・・・・・・・・求職申込が少なく、事業所でほしい人材を選べない
60%・・・・・・・・・・・・・求人広告や求人情報サイト等を利用してる為、人件費がかさむ
25.7%・・・・・・・・・・・・ハロ-ワ-クでの求人への応募がない

在職者が、障害福祉の仕事を続けている理由と思われるもの  *上位3つまで
47.2%・・・・・・・・・・・やりがいのある仕事だから
38.9%・・・・・・・・・・・職場のふいん気、職員の人間関係が良く働きやすいから
33.3%・・・・・・・・・・・人や社会の役に立つ仕事だから

上記集計結果からの考察
福祉事業所の雇用問題は深刻である。事業所が単独で改善することはすでに望めない
状態になっていると思います。特に採用者の1年未満での離職率が年々上がっており、
採用費が嵩む上で止まらない離職という悪循環に歯止めを効かせるシステムや行政から
の支援体制も必要。
もちろんベースアップや処遇改善など基本報酬の底上げ実施も必要。
又、人材確保、人材育成への援助体制も整えないと、企業がフランチャイズ化している
事業所しか残らない様に思います。すなわち福祉事業所が営利のみを生むところとなっては
ならず、より質の高いサ-ビス提供を目指すところでないといけないのです。
もちろん人材確保は重要だが、そのために質を低下させる事を許されない、逆に事業所
としては不利益となってしまう。質・専門性を担保しながら人材を確保していくための
効果的な方策を考えていけるかが大変重要である。