投稿内容:兵庫県のKさんより
「相模原障害者施設事件については、社会的弱者であるという理由だけで虐げられる社会に対する恐怖感と共に、犯人がなぜこのような殺人行為を起こすに至ったのか?今回の事件の凶悪犯という人生を歩ませてしまったものは何なのか?社会の中に、犯人としての人生を歩ませて社会的弱者を虐げさせてしまう闇のような隙間があったのではないか…という疑問と悲しさを感じています。」
*上記投稿内容に対して成人障害者地域生活研究会として思うこと(山下、亀田)
当然このような犯罪は絶対に許せません。このような事件が二度と起こらないようにするために以下の視点で述べます。
1:施設としての「組織」の視点からの対応
・施設管理者や職員の質の向上と待遇面での改善
・外部第三者調査指導機関の強力化(オンブズマンの様な形態も含むが
抜き打ち調査も実施出来、調査回数を多くして適格な指摘が出きる
機関)・・・施設側での隠蔽も多い傾向にあるため
障害者の施設で虐待が発生する理由は複雑であり、いくつかの要因が影響していると考えます。以下はその主な理由と対策です。
① 権力不均衡とコミュニケーションの困難性: 障害を持つ人々は、自己表現やコミュニケーションが難しい場合があります。このため、彼らが虐待を報告しにくく、虐待者が権力を乱用しやすくなります。
② スタッフの不適切なトレーニングやリーダーシップの不足: 施設のスタッフが適切なトレーニングを受けていない場合、特に障害者に対する理解が不足していると、コミュニケーションやケアの提供において問題が生じやすくなります。
③ 適切な監視と報告の不足: 虐待を防ぐためには、適切な監視と報告機構が必要です。施設内での監視が不十分で、虐待が見逃されることがあると、問題が深刻化します。
④ 人員不足とストレス: 過度の仕事の負担やストレスは、スタッフが患者に対して不適切な行動をとる可能性を高めます。人員が不足していると、スタッフは適切なケアを提供することが難しくなる。
⑤ 組織文化の問題: 施設全体の文化が虐待を容認するようなものである場合、スタッフが虐待行為を行う可能性が高まります。組織が倫理的で健全な文化を育むことが重要である。第三者委員会を設置、施設自体の評価制度を作り、それをオ-プン化し、いいところには何らかの補助金を支給し、いい意味での格差をつける。
要因と対策については上記項目以外にも全国きょうだい会2023年3月号 「つくし」から引用した、 「どこにでもある、民営化が引き起こす問題」を参照して下さい(施設県営の放棄第一号後の弟の死とその後に起こった山ゆり園事件の背景(HPの2-5参照))
2:犯罪を犯した人の人格や境遇について
① 当事者の家族・学校・友人・職場等での繋がりと助けあえる関係を持てるように 周囲の人達がすすめる、努力していく必要がある。当事者が出会う人に対し
偏見、差別をなくすために 待つのではなく、能動的に当事者と話し合う機会をつくっていくことも大切である。このためにも 対応する相談機関を充実し、頻繁に当事者アンケートキャッチボールを行う。
② 社会的な偏見や無知: 障害者に対する社会的な偏見や無知が、施設内での差別や虐待を引き起こす可能性があることも、広く伝えていく必要がある。真摯に対応する政治家(真に実行力のある政治家を見極め選挙で選ぶ)・公的職員・施設職員を見極めて、協力し育てていくことも重要である。各々が参加するであろうサ-クル等の機会があればそこで訴え積み重ねる努力や行政への働きかけ等、日々の中で各自が実践することが、最終的には障害者を含めて誰もが排除れない社会、孤立した存在を生み出さない社会をめざす営みにつながっていくと思います。
3:むすび 同様な悲劇が起こらないよう、共に考え実現するよう広めていきましょう。これからもホームページに意見を頂ければ幸いです
最後、見解に対する投稿者の感想:
事件背景には複数の要因が絡み合っていることが良く分かりました。
要因である障害者福祉の問題点を一つずつ個別に着目して対処していくだけではなく、複数の問題点への対処を同時進行で把握し、俯瞰的に見て共有していく事が大事なのではないかと思いました。
私は高齢者福祉分野で働いていますが、多数派市場の介護業界でも、職員とサービスの質の維持向上は非常に難しく永遠の課題と感じています。ましてや、障害者福祉分野に従事される方々の、職業倫理の維持の尽力とご苦労はいかほどかと思います。そして、事業者単位や法人単位では上手くいっているケースの方が少ないのではないかという肌感覚があります。
事業者への働きかけ、行政への働きかけ、社会一般への働きかけ、それぞれの立場で尽力されている方々が時にはお互いの活動を認識し、同時進行で一進一退しながら、少しずつ社会に影響を及ぼしていくべきものなのだろうと色々考えさせられました。
有難うございました。